「食でつなぐ未来：アフリカと東北大学の共創」
2025年4月26日、東北大学農学研究科主催、GP-Foodと知の創出センター（TFC）共催による公開講演会「食でつなぐ未来：アフリカと東北大学の共創」が、片平キャンパス・知の館にてオンラインと対面のハイブリッド形式で開催されました。本イベントは、2024年TFCテーマプログラム「Designing Foods for the Future」の一環として行われたものです。
開会にあたり、東北大学理事・副学長の杉本亜砂子先生が登壇。アフリカとの国際連携の必要性や、未来の食を支える人材育成の取組として2024年に設立されたGP-Foodプログラムについて紹介されました。
続いて、テーマプログラム責任者である野地智法教授（農学研究科）より2024年TFCテーマプログラムの開催報告がありました。野地教授は、人口増加や環境変動、感染症、食料不安といった複雑な課題に対し、国際・学際的な視点での解決を目指す教育活動の意義を強調しました。
講演セッションでは、まずマゲジ・ユスタディウス・フランシス助教（農学研究科）が登壇し、「アフリカにおける稲作生産性向上の現状と課題」について発表。現行技術（肥料、灌漑、品種など）の活用に加え、科学的根拠に基づく持続可能な技術の開発が求められていると述べました。
続いて、ササカワ・アフリカ財団の菊地翔太郎氏より「環境再生型農業の普及」について講演がありました。土壌回復や生態系の再生を目指すこの農業技術の具体例として、被覆作物の活用が紹介されました。現場での実装にはNGOの役割と、大学との連携による科学的支援が不可欠であると語りました。
後半では、ナイジェリア・Covenant Universityのオバフェミ・イェミシ・ドルカス博士が、東北大学との共同研究による発酵食品の機能性評価について発表。ナイジェリア伝統の発酵食品から有用な乳酸菌をスクリーニングし、下痢予防への応用を目指していることが紹介されました。
最後に、ケニア・Egerton Universityのギデオン・オバレ教授より「農業バリューチェーン変革に向けた日・アフリカ連携」について講演がありました。気候変動による収量減、ジェンダー格差といった課題に触れ、特に女性の農業資源へのアクセス改善が生産性と地域の発展に寄与することが強調されました。
締めくくりとして、北澤春樹教授（農学研究科・農学部長）より閉会の挨拶がありました。本講演を通じて得られた知見を活かし、今後もアフリカの大学との共創を通じて研究成果の社会実装を進めていく決意が述べられました。
本イベントにはGP-Foodからも希望する学生が参加し、各講演者との意見交換を通じて国際的な視野を広げる貴重な機会となりました。
